暗号資産(クリプト)は、これまで仮想通貨とも呼ばれきましたが、日本では「暗号資産 “crypto-assets”」が正式名称です。
暗号資産とは、ブロックチェーンと呼ばれる暗号化された電子的な台帳(情報を一覧形式で整理するための帳簿。例:住所録・連絡先リスト)によって、所有権や取引履歴が記録された、Peer to Peerでの取引が可能な新しいデジタル資産です。
このブロックチェーンという技術によって、暗号資産のユーザーは、銀行や決済代行会社(VISAなど)の仲介者を介さずに、暗号資産をピアツーピア(Peer to Peer, P2P:対等の者(Peer、ピア)同士が通信をすること)で取り引き(送る・受け取る)できるようになりました。
暗号資産が誕生するまでは、資産の取り引きには、以下の図のように、間に仲介者が必ず入っていました。
金融資産の送受の仲介者の代表は、銀行です。
その他の仲介者としては、決済代行業者(VISA/JCBなど)があります。
海外に送金するためには、送る側には、送金手数料以外に、為替スプレッドの支払いも発生します。海外へ送金する場合は、通貨が異なることより、為替差益も発生します。
暗号資産以外の資産を取り引きする場合は、送る側又は受け取る側が、手数料などを負担し、その手数料は、仲介者が利益として得ています。
例えば、金融資産以外の資産である不動産の売買であれば、不動産の売主・買主ともに、仲介業者に仲介手数料を支払います。部屋を借りようとするとき、大家・借主(入居者)がともに、仲介業者に仲介手数料を支払います。
ところで、世界には、銀行口座が持てない人もいます。銀行口座がなければ、現金でしかやりとりできません。
先進国では銀行口座を持つ成人の94%がいますが、開発途上国では63%となっています。
例えば、ベトナムでは、69%の人が銀行口座を持っていません。
(参考:The World’s Top 5 Unbanked Countries Have More Than 60% Of Their Population Without Bank Accounts)
しかし、暗号資産は、お互いにWalletを持っているだけで、銀行を経由することなく(=高額な手数料を支払うことなく)、モノやサービスを購入したり、遠い国の家族に送金したりすることができます。
また、暗号資産の行方を政府に把握されることもありません。
つまり、暗号資産の最大のメリットは、中央銀行や政府機関から縛られることがないということです。
暗号資産の取り引き(送ること・受け取ること)は、完全に個人間のやりとりだけで、完結します。
資産を世界のどこにいても、無料で個人間でやりとりできるこのシステムは、人類史上初めてです。
最初の暗号資産であるビットコイン(Bitcoin)は、Satoshi Nakamotoに考案・発表されてから、15年以上が経過し、現在は1万を超える様々な暗号資産が誕生しています。
本記事執筆時点で、その種類は、cryptocurrencies: 13413に到達しています。
(参考サイト:Cryptocurrency List)
Bitcoinが誕生して以来、暗号資産は、以前の単なる通貨としての価値以上に進化しています。
銀行などの仲介者を介さずに取り引きを行うために設計された、最初のビットコイン(Bitcoin)は、単なる投資対象を超えて、2024年12月現在で、従来のお金のような役割を果たし、モノやサービスの支払いに利用されています。
これから、暗号資産の技術が、どのように金融システムを変えていくのか、そして、世界がどのように変わっていくのか、楽しみでなりません。
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